暑い日の夕暮れ時 風がぴたっと止まる 押し寄せてくる闇に抗うように 時間が止まる 家々の玄関先に 打ち水がまかれ お暑いねぇ と 笑顔が行き交う どこからか 焼き魚の匂いが漂い ご飯よぉ と 子供を呼ぶ声がする 遠くで 気の早い花火がわめきはじめ だれかが じれて 風鈴をうちわで扇ぐ 海辺の小さな街は まるで グラスの底のテラリウム 暑さと温かさが まとわりつき 息苦しくもなった 遠い夏の日 愛すべき 瀬戸の夕凪....